独立して会社を立ち上げたい!そう思い立っても、会社設立にあたっての知識がなければ、どうすればよいかわかりませんよね。
会社設立はたくさん準備しなければならないものもありますし、手続も複雑で大変ですが、個人事業主に比べメリットも多いです。
そこで今回は、会社を設立したいけど何をどうすればよいかわからない人のために、会社設立のおおまかな流れと、会社を設立することによるメリットやデメリットについてもわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
会社設立までにかかる期間の目安は?
準備する書類が多く、「定款」などの難しい書類を作成する必要もあるため、専門的な知識が無い場合は非常に時間がかかってしまいます。
早くて2週間、一般的には1ヶ月程度はかかると思っておいた方がよいでしょう。
会社の形態について
今現在日本における設立可能な会社の形態としては、以下の4種類が認められています。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
一般的には「株式会社」か「合同会社」のどちらかを選択し、会社を設立することが多いです。
現時点では株式会社の数が多いですが、最近では小規模なビジネスが増える傾向にあり、合同会社が選択されるケースも非常に多くなっています。
会社を設立するメリットとデメリット
会社設立のメリット
- 決算月を自由に決めることが可能。
- 代表取締役の給与を経費で落とせるなど、経費にできる範囲が広がる。
- 会社であるというだけで信用されるため取引先に認めてもらいやすい。
- 融資の審査などに有利。
- 赤字の場合、翌年の事業年度以降の利益から10年間繰越せる。(2018.3.31以前開始事業年度については9年間)
- 資本金1億円以下の会社の場合、交際費は年間800万円以下であれば全額が損金として認められる。
- 相続税がかからないなど、節税が可能。
会社設立のデメリット
- 定款の作成や、登記など難しく煩雑な手続が必要となる。
- 一般的に25万円~45万円の費用がかかる。
- いわゆるひとり社長の会社であっても、社会保険には強制加入となる。
会社設立の際に使える助成金、補助金はある?
会社設立の際には、以下の4つの補助金や助成金を使うことができます。
- 創業補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者補助金
- キャリアアップ助成金
会社設立の具体的な流れ
ここからは実際に会社を設立するにあたっての流れについて見ていきましょう。
おおまかな流れとして、「基本事項の決定」「定款の作成」「資本金の払込み」「登記書類の作成」「登記の申請」があります。
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
「商号」を決める
会社設立にあたり、基本的に決めておかなければならないことがいくつかあります。
「商号」つまり会社の名前を決めるというのもそのひとつです。
基本的には自分の好きな名前を自由に付けることができるのですが、同じ住所に同じ商号がある場合は登記ができません。
これは「会社法」によって定められています。
まずは登記を申請する前に、本店の住所を管轄している法務局で同じ商号がないことを確認しておきましょう。
会社法の他に「不正競争防止法」にも気をつける必要があります。
混乱や誤解を招くため、例えば銀行業ではないのに銀行という文字を使用するのは法律で禁止されています。
有名な企業の名前も使用することが禁止されていますので注意してください。
印鑑を作る
登記手続のために提出する書類には必ず会社の会社実印(代表者印)を押さなければなりません。
登記申請を行うときには、会社の実印も一緒に提出が必要です。
会社の実印は大切なものですから、防犯面も兼ねて量販店で買ったものや量産型の印鑑は選ばず、専門店で専用の印鑑を作るのがお勧めです。
きちんとした印鑑を作るには時間がかかることが多いので、早めに用意しておくようにしておきましょう。
資本の金額を決める
「資本金」の多さは「会社の信用力」を高めます。
資本金があまりに少なすぎると社会的に信用が得られません。
会社を設立したばかりのときには資本金の多さが信用の判断の基準になります。
「定款」を作成する
「定款」とは、会社を運営していく上での目的や組織、運営など、会社の基本的な規則を定めたもので、別名「会社の憲法」とも呼ばれます。
会社設立の手続の中でも、一番の難関が定款の作成といえるでしょう。
定款には、以下の3つの事柄を記載する必要があります。
絶対的記載事項
必ず記載すべき事項の項目です。
仮にこれを記載していない場合は、定款自体が無効となってしまうので注意しましょう。
具体的には以下の6項目になります。
- 商号(会社の名前)
- 事業目的(会社の事業の内容)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称及び住所
- 発行可能株式総数
相対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項ではないのですが、定款に記載がなければ有効にならない事項のことです。
具体的には以下の通りです。
- 現物出資がある場合はその内容
- 株主総会などの招集通知を出す期間の短縮に関する規定
- 取締役会の設置に関する規定
- 役員の任期の伸長についての規定
- 公告の方法
- 発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容
- 株式譲渡制限に関する規定
- 株券発行の定め
任意的記載事項
「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」以外に、定款に記載することで、会社が任意で決めた事項を明確にすることができます。
「任意的記載事項」は、定款に記載する義務があるわけではありません。
発起人によって決定した記載事項があるのであれば、定款に記載しておく方がよいでしょう。
具体例で言えば、以下のような事項になります。
- 取締役などの役員の人数
- 事業年度に関する定め
- 定時株主総会の招集時期
「定款」を作成したら、作った定款を会社の本店所在地がある公証役場へ提出します。
そこで定款に記載されているものが正しいものかを第三者に証明してもらいます。
このことを「定款認証」と言います。
ちなみに「合同会社」の場合は、定款作成は必要ですが、公証役場での認証は不要です。
定款は紙だけでなく、PDFの電子定款で提出することもできます。
紙の定款認証で必要となる収入印紙代の4万円が電子定款で提出すれば不要となります。
資本金を払い込む
資本金の額に決まりはありませんが、あまりに低い金額は現実的ではありません。
一般的には100万円~1,000万円が多くなっています。
資本金が多ければ社会的な信用も厚くなりますが、1,000万円を超えてしまうと会社を設立した年度から消費税が課せられてしまうため注意が必要です。
資本金は現金だけでなく、物で出資する「現物出資」もあります。
登記書類の作成
いよいよ会社設立の流れも最終局面に差し掛かってきました。
設立する会社の形態によって必要となる書類は変わりますが、主に以下のものが必要となる書類になります。
- 登記申請書
- 定款
- 資本金の払込みを証明する書面
- 役員の就任承諾書
- 印鑑届出書
- 印鑑カード交付申請書
- 登記すべき事項を記録した磁気ディスク
法務局への会社設立登記申請
全ての書類が揃ったらいよいよ登記申請です。
登記申請は、資本金を払い込んだ後2週間以内に行います。
さいごに
今回は会社を設立するにあたっての流れをまとめていきましたが、いかがでしたか?
しなければならないことは多いですが、会社を設立するメリットは多いです。
これから大変なことも多いでしょうが、夢の実現を応援しています。