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所得税の扶養控除って?種類や条件についてわかりやすく解説

みなさんは扶養控除という言葉をご存知でしょうか?

社会人の方は一度は耳にしたことがある言葉だと思います。しかし、言葉はなんとなく知っていても実際にどのような制度かしっかり理解している方は少ないのではないでしょうか?

今回は、知っているのと知らないのとでは大違いな所得税の扶養控除について、詳しく解説していきたいと思います。

ちなみに、ややこしい言葉の意味については以下の内容で理解しておいてください。
・被保険者:家族を養っている者。今回は会社に勤務している人を想定。
・被扶養者:被保険者に養われている者。今回は専業主婦(主夫)、パート、アルバイトを想定。

目次

所得税の扶養とは?

では所得税の扶養とは一体どういったものなのか確認しておきましょう。

所得税の扶養とは、扶養している親族の人数に応じて所得の控除を受けることができる制度のことを指します。

ちなみに、同じ「扶養」という言葉を使っているため混同しやすいのですが、所得税の扶養社会保険の扶養は、それぞれ使い方や意味が違ってきます。

この社会保険の扶養の条件については別の記事にて詳しく解説していますので、そちらも合わせてご確認ください。

所得税の扶養控除の種類

配偶者が対象のもの

・配偶者控除

・配偶者特別控除

配偶者以外が対象のもの

・扶養控除

この扶養控除の対象となるのは、6親等以内の親族と、3親等以内の婚姻によってできた親戚までと、かなり広い範囲が定められています。

被扶養者となるための条件は?

所得税の扶養親族になるためには、以下の条件に当てはまる対象者である必要があります。

  • 16歳以上の親族または配偶者であること
  • 納税者と同一の生計であること
  • 年間の合計所得金額が基準値以下であること
  • 青色申告者の専業従事者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと

それでは、ひとつずつ詳しく確認していきましょう。

16歳以上の親族または配偶者であること

所得税は毎年12月31日時点の状況をもとに計算されるため、扶養の対象となるのは対象年の12月31日時点で16歳を迎えている親族です。

以前は全年齢が対象でしたが、税制の改正により変更されました。

納税者と同一の生計であること

納税者と扶養されている者が同一の家計であることが必要です。要するに、元の財布が同じであるということです。

一般的には同居していて養われていることで同一の生計であることが認められますが、大学生など、子どもが別居している状態であっても、生活費、学費などの送金が確認できれば同一の生計であると申告することが可能です。

年間の合計の所得金額が基準値以下であること

合計の所得金額とは、収入から必要経費を引いた金額を指します。

金額は、親族の扶養控除と配偶者の配偶者控除、配偶者特別控除で異なります。

詳細な金額については、この後の項目にて詳しく解説していきます。

確定申告に関する特定条件

確定申告において、青色申告者の専業従事者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けておらず、白色申告者の事業専従者ではないことも条件として定められています。

すなわち、自営業者の配偶者でないという意味です。

別途で所得控除の枠があるため、二重適用にならないよう、このような条件が設けられています。

被扶養者となるための収入要件

被扶養者となるための収入要件は先述しましたが、親族であるか配偶者であるかによって異なります。
これがよく耳にする103万円の壁と呼ばれる存在です。

この所得は、収入から必要経費が引かれた額となりますので一般的には交通費は含まれません。

配偶者の場合

・配偶者控除  :合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)

・配偶者特別控除:合計所得金額が48万円以上133万円以下(給与収入のみの場合は103万円以上201.6万円未満)

その他の親族の場合

合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)

扶養控除によって控除される金額

扶養控除によって控除される金額についても、その他の親族の場合と配偶者によって異なってきます。

配偶者の場合

配偶者控除の場合は控除額は納税者の所得額によって異なります。これは配偶者控除、配偶者特別控除ともに同じです。

所得額により、以下の3段階で控除額が分けられています。

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額
控除額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者
900万円以下
(給与所得のみの場合1,120万円以下)
38万円48万円
900万円超 950万円以下
(給与所得のみの場合1,110万円超1,160万円以下)
26万円32万円
950万円超 1,000万円以下
(給与所得のみの場合1,160万円超1,210万円以下)
13万円16万円

※その年の12月31日時点で70歳以上の配偶者

参考:国税庁( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

その他の親族の場合

所得税の計算に関しては、扶養控除の金額は年齢によって以下のように分けられています。

  • 下記以外の年齢の親族:一般の控除対象扶養親族
  • 19歳以上23歳未満  :特定扶養親族
  • 70歳以上      :老人扶養親族
区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族63万円
老人扶養親族同居老親以外の者48万円
※同居老親等58万円

※老人ホームなどへ入所せず、同居を常としている方

参考:国税庁( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm)

さいごに

今回は所得税控除の扶養について解説してきましたが、いかがでしたか?

所得税の扶養対象になっても社会保険の扶養対象にならないこともありますので、扶養に入りながら収入を得たい場合は収入基準などにも気を配らなければなりません。

扶養に入りたいがために働き方をセーブするよりは、思い切って自分自身が社会保険へ加入するくらいに働いてしまったほうが得をする場合もあります。

色々気を配らなければなりませんが、納得いく働き方ができれば良いですね。

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この記事を書いた人

大槻 直志のアバター 大槻 直志 税理士

オーティス税理士事務所の代表税理士。専門分野は法人税、所得税、消費税。

スタートアップから年商数十億規模の会社まで幅広く顧問先を担当。
過去報告だけでなく、将来予測ベースでの経営の見える化を支援しています。

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