近年、働き方の多様化が進んでおり様々な業種でその傾向が見られます。
美容師業界も例外ではなく、ここ数年で急増しているのが複数人のスタイリストがブースや設備を共同利用する「シェアサロン」という業態です。
単にシェアサロンと言っても、個人同士で店舗を共同経営するスタイルだけでなく、そこから派生した、フリーランスの美容師向けに提供されているサービスとしてのシェアサロンもかなり人気があるようです。
低コストでリスクも少なく手軽に始めやすい点から、独立したての美容師にはもってこいのサービスと言えます。
というわけで今回は、シェアサロンの具体的なシステムやどんなメリットがあるかなどについてわかりやすくご紹介したいと思います。
目次
「シェアサロン」ってどんなサービス?
シェアサロンとは、フリーランスの美容師がレンタルスペースのような空間でそれぞれ区分けされたブースを有料でレンタルするサービスです。
場所や事業者によって異なりますが、月極契約で空いている日時に自由に使用できるようになるプランや、利用時間や日数によってレンタル料を支払うサロンもあります。
金額に関しては、売上に対する歩合料金であったり、月額料金+売上歩合といった組み合わせの料金プランになっていたりと、こちらもサロンによってさまざまな様です。
サロンの場所はもちろんのこと、自分の売上額の見込みや手元に残る金額などとも相談しながら決める必要がありそうです。
また、施術に必要な基本的な道具は店舗に用意されていることが多く、毎回大量の荷物を持って行く必要がないのも特徴です。
しかし薬剤などの消耗品は自前で用意しなければいけないところがほとんどなので注意が必要です。
「シェアサロン」のメリット
続いてシェアサロンを検討する上で、利用する場合のメリットとデメリットについてもきちんとおさえておきましょう。
まずはメリットや強みについて。
低コスト・低リスクで独立できる
冒頭でも軽く触れましたが、シェアサロンの最大のメリットとしては低コスト・低リスクで独立ができるという点でしょう。
独立を目指す美容師にとって、大きな懸念点のひとつが開業資金です。
銀行などから融資を受けるという前提でも、ある程度は自己資金の用意が必要になります。
物件を借り設備を揃えスタッフを雇い・・・ 年間6割とも言われている美容院の閉店率を考えると、多大な借金を抱え独立開業するのは大きなリスクがあります。
シェアサロンであれば、家賃や光熱費、人件費といった一般的なランニングコストが抑えられ、月額料金や備品・薬剤費などの最低限の料金だけで済ませることができます。
また店舗の契約や改装などを待つことなくすぐに営業が開始できる点も大きなメリットと言えるかと思います。
自由度の高い働き方ができる
シェアサロン内での取り決めなどはさておき、フリーランスの美容師として働く場合、フルタイムで出勤する必要はありません。
基本的にはお客様の予約の入っている時間だけ働けばいいので、自分の時間を確保しやすくなります。
もちろん沢山稼ぎたい場合などはその分お客さんからの予約を多く受けたり、美容師以外の仕事とのダブルワークなんてことも可能になります。
育児や家事などに必要な時間も無理なく確保しながら柔軟に働けるので、女性の場合なんかは特に大きなメリットと言えるかもしれません。
収入額が高い
美容室での正社員の基本給+歩合給の場合と比較した場合、一般的なサロンの歩率が15%~30%なのに対して、シェアサロンの歩率は60%~80%と非常に高くなっています。
つまり手元に残る金額がおおよそ2倍程度になるわけです。
もちろん、お客様が多ければ多いほどその分収入が多くなりますし、将来開業して自分の店舗を持ちたい方にとって、自己資金を貯める場としてピッタリですね。
ただし、安定した集客が前提のメリットですので、その分集客力や技術面での努力が不可欠という点には注意が必要です。
「シェアサロン」のデメリット
続いて「シェアサロン」を利用する場合のデメリットについても把握しておきましょう。
自身の集客力が必要不可欠
前項でも説明した通り、自由に働ける分、自身の集客力が必要不可欠になります。
一般的なサロンの場合、お店のホームページやフリーペーパー等で宣伝し集客をしていますが、シェアサロンで独立した場合は基本的に全て自分の手でしなければなりません。
以前からの固定客がいる場合でも、新規のお客さんを獲得しなければ少しずつ客足は減っていきます。
そうならないためにも、SNSや人脈等を活用して宣伝をするスキルが要求されます。
ただしシェアサロンによっては契約している美容師の宣伝を実施してくれる場合もありますので、上手く活用しつつ、今後のためにも集客力を身につけましょう。
自分の個性を出せない
独立というと、内装や雰囲気を自分好みにコーディネートするのも楽しみの一つになりますが、シェアサロンは共同スペースでの営業になるので自分のこだわりを出しづらい点は注意が必要でしょう。
「自分だけのお店で独立したい」と思っている方にとっては色々と妥協点や不満に思うことも多々出てくるかと思いますので、将来を見越して繋ぎのために利用するというのも選択肢の一つです。
「業務委託サロン」との比較
フリーランスとしての働き方の選択肢の一つに、業務委託契約のサロンというのもあります。
シェアサロンとの大きな違いとしては、集客や備品薬剤の準備、メニューの設定など店舗の運営に関わる全ての業務をサロン側が行うという点でしょう。
自分を指名してくれるお客さん以外にも、新規のお客様の対応頻度も多いため、顧客数を増やすいい機会にもなります。
ですが同時に、店舗の運営業務という煩わしい要素が無い分、売上の還元率はシェアサロンの方が高くなっています。
業務委託サロン
- 出勤の自由度は低め
- 売上還元率もそこそこ
- 集客は店舗がしてくれるため収入は比較的安定
シェアサロン
- 出金は基本的に自由
- 売上還元率はかなり高い
- 自分で集客が必要
どちらも一長一短はありますが、特に集客面において不安が大きい場合には業務委託サロンを選ぶのも有りかもしれません。
まとめ
今回は独立を目指す美容師向けのサービスとしての「シェアサロン」についてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
始めるまでのハードルが低いため、将来独立開業を目指す人はまずこのシェアサロンで資金を貯めつつ経営や顧客管理のシミュレーションをしてみるのもいいでしょう。
やる気と技術次第ではガンガン稼ぐことも可能ですので、集客に自信のある方にとってはかなり魅力的な選択肢になると思います。