独立し、会社を設立するうえで知っておきたい補助金の中に「創業補助金」というものがあります。
会社を設立するにあたり、重要な問題となってくるのが資金調達となりますが、国や市区町村の補助金をうまく活用すれば、融資申請が難しい局面でも資金を調達することができます。
補助金にはたくさんの種類がありますが、今回は「創業補助金」にスポットを当て、詳しく解説していきたいと思います。
目次
創業補助金とはなにか?
創業補助金とは、会社の設立時に必要となる経費の一部を市区町村と連携した民間の支援事業者などが補助してくれる制度のことをいいます。
国から認定を受けた市区町村の「創業支援の事業計画」に従って行われており、国からの補助ではなく地域経済の活性化を目的とした補助金となっています。
この創業補助金は、年度により名称が変わったりしています。2018年度からは「地域創造的起業補助金」という名称となっており、地域ごとの補助金に変更されています。
新たな需要や雇用の創出などを促し、日本経済を活性化させることが目的とされています。
創業補助金には返済義務はない
創業補助金の最大のメリットは「返済が不要」ということです。
ただし、返済不要とはいうものの、補助金の交付を受けてから一定の期間内に一定以上の収益が上がった場合には返済義務が生じる場合があります。
創業補助金を受給できるのは申請が通ってすぐではなく、補助対象期間である6ヶ月経過後から更に数ヶ月度になります。
創業補助金の対象事業
創業補助金の対象となる事業は、創業補助金の募集日以降新しく会社を設立する事業者です。
産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」で企業または企業予定であり、従業員を1名以上採用する予定がある会社が対象です。
事業者の種類としては、以下の3つになります。
- 創業を具体的に計画している個人
- 中小企業者(個人事業主、法人)
- 特定非営利活動法人
ひとつずつ詳しく確認していきましょう。
【創業を具体的に計画している個人】
創業を具体的に計画している個人の要件には以下の項目があります。
- 「経営経験が通算5年未満であること」
- 「特定市区町村での創業を予定していること」
- 「個人開業医ではないこと」
【中小企業者(個人事業主、法人)】
中小企業者は、創業補助金の対象となる要件が個人事業主と法人では違ってきます。
個人事業主
「税務署へ開業届を出してから5年未満であること」
「納税地と事務所が特定市区町村にあること」
「特定市区町村で実質的に事業を行っていること」
法人
「法人登記を行ってから5年未満であること」
「本店所在地が特定市区町村に登記されていること」
「特定市区町村で実質的に事業を行っていること」
「本店が実在すること」
【特定非営利活動法人】
創業補助金の対象となる特定非営利活動法人の要件は以下になります。
- 「法人登記を行ってから5年未満であること」
- 「主たる事務所が特定市区町村で登記されていること」
- 「特定市区町村で実質的に事業を行っていること」
- 「中小企業者の振興に資する事業を行い、事業を行っていることもしくは中小企業の支援を行うために中小企業者が主体となり設立された事業者であること」
全国の主要市区町村はほとんどが認定市区町村となっていますが、詳しい認定市区町村は中小企業庁のホームページで確認できます。
創業補助金の補助対象外事業
創業補助金には補助対象外となる事業があります。
以下に当てはまる事業であった場合には創業補助金の利用はできません。
- 公序良俗に問題のある事業
- 公的な資金の使途として社会通念上、不適切であると判断される事業
(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律<昭和23年法律第121号>第2条において規定する風俗営業など) - 国、公社、都道府県、市区町村などから他の創業関係の補助金、助成金の交付を受けている、または受ける予定である事業
- 個人事業主、法人の登記上の代表者として経営経験が通算5年以上ある
- みなし大企業(大企業から派生した子会社)である
- 個人開業医である
創業補助金の申請の期間
創業補助金は、申請を受け付けている期間が限定されています。
年度により受付けている期間はまちまちで、2018年は4月の末から1ヶ月程度の受付期間がありましたが、2020年度は10月1日から10月9日までと、約1週間弱しかありませんでした。
申請期間は毎年変更されるので、中小企業庁のホームぺージや、市区町村の窓口などで募集状況をチェックしておく必要があります。
創業補助金の上限は?
創業補助金には補助上限と助成率がありますので、必要経費の100%を補助してもらえるというわけではありません。
創業補助金の支給額は下限50万円で、上限が200万円(外部資金調達がある場合、ない場合は100万円が上限)となっています。
助成率は実際に支出した経費の1/2以内となっています。
例えばかかった経費が200万円だった場合に、補助金として交付されるのは100万円となります。
上限が200万円までとなりますので、仮に経費が600万円かかったとしても、支給される補助金は300万円ではなく、200万円となります。
また、補助金は助成対象期間が終了した後に、実績の報告と完了の監査を受けてから支給されるため、出費した経費の書類を証拠として提出する必要があります。
創業補助金の対象となる経費
創業補助金で認められている経費には、以下のようなものがあり、何でもかんでも認められるというわけではありません。
使用目的が、事業を行うにあたり必要なものと明確にできる経費であることが要件となります。
また、交付決定日以上に発生した経費である必要があり、支払った証拠となる書類は全て残しておき、提出する必要があります。
ちなみに、水道光熱費、通信費、接待交際費、会議費などは対象外となります。
【賃借料】
事務所、店舗、駐車場など、不動産の賃借料
サーバーなどのリース、レンタル料も対象
【広告費】
ホームページやチラシの作成費用などの宣伝広告費
マーケティング調査を行った費用
【器具備品導入費】
机、イス、パソコン、プリンター、エアコンなど。
1点あたり1万円以上50万円未満のものであることが条件。
消耗品は対象外となる。
【産業財産権の出願費用】
商品、製品、サービスに対する特許権、商標権などの産業財産権の出願費用など。
【専門家指導費】
外部専門家への相談、コンサルティング費用
【人件費】
正社員、パート、アルバイトなどの非正規雇用従業員に支払う人件費
申請者本人、役員の人件費、派遣や委託契約で支払う人件費は対象外
さいごに
いかがでしたか?
今回は創業補助金について、認められる経費や対象となる事業者について解説してきました。
次回は、申請方法やメリットデメリットについて解説していきたいと思います。