美容師が独立したら年収はどのくらいー美容サロン経営を具体的にシミュレーションしてみた

「独立して自分のお店を持ちたい!」

美容師の仕事をしていれば、誰しも一度は独立を夢見て物思いにふけるような経験があるんじゃないでしょうか。

店舗の立地から、内装や椅子のデザインにBGM、料金はどのくらいにしようか・・・などなど考え出すとワクワクして日々の業務にも身が入るものです。


しかしどうしても気になってくるのが売上額や年収などの現実的な数字についてでしょう。

いくら自分の店を持てたとしても、生活していけなくてはなんの意味もありませんし、せっかく独立するなら雇われていた頃よりも稼げなくては夢もありません。


そこで今回は、美容室オーナーの平均年収などのデータを元に、何にどのくらいの経費がかかって実際にはどのくらい稼げるのか、など気になる実態について解説していきたいと思います。


美容師の平均年収はどのくらい?

サロン経営者の年収を知る前に、まず美容師の平均年収を見てみましょう。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によるところでは、2019年度の美容・理容師の平均年収は30歳で約311万円となっています。

一方で国税庁の「民間給与実体統計調査」によると、職業を限定しない国民の平均年収は30歳で約410万円となっていますので、平均よりもやや少なめといったポジションです。


上の数字はあくまでも平均値ですので、居住エリアや経験年数によって年収は大きく異なってきます。

また個人経営なのか法人化しているのか、雇われなのかといった勤務形態なども考慮されていませんので、参考程度に留めておいてください。


キャリア別の平均年収

上でも軽く触れましたが、美容師という職は見習い期間が比較的長く、キャリアによってかなり年収に差が生じます。


見習い期間であるアシスタントの場合の平均年収はおおよそ200万円弱と、かなり控えめな金額になっています。
アシスタント時代はお客様への施術などはせず、基本的にはスタイリストのサポート的な仕事がメインのため、直接売り上げに関わらない分どうしても賃金は低めになってしまいがちです。


アシスタントとして基本的な技術やノウハウなどを学び、トレーニングを経て晴れてデビューとなるわけですが、スタイリストになれてようやく平均年収は約350万円ほどになるようです。


またたいていの美容室ではスタイリストによってランク分けがあったり、指名制度があります。
さらに一般的には店長やチーフなどの役付きになると役職手当が支給されるため、技術や経験によってはさらに収入額を増やすことができます。


基本的にはアシスタントを卒業することで1.5倍~2倍程度の収入が得られるようになるため、ここでさらに技術力の向上や資金の準備、集客のノウハウを学んだりすることで初めて独立の選択肢が見えてきます。


美容サロン経営者の平均年収について

では本題である美容サロン経営者の平均年収について確認してみましょう。

と言ってもサロンの経営者に限定された年収の統計調査は行われておらず、公的なデータとしての平均年収はわかりません。


ただ、平均客数や一人当たりの利用料金などのデータから、おおよその数字を導き出すことは可能ですので、ざっくりと概算してみました。


結論から書きますと、美容サロン経営者の平均年収としてはおおよそ200万~450万ほどという結果になりました。

具体的な計算過程についてはこんな感じです。

美容サロンの平均売上高

厚生労働の調べによると、美容サロンの平日の平均客数はおよそ6人、休日でおよそ7人とのことですので一週間で約44人が利用しているとします。

また客層などにもよりますが、利用料金に関しては全体の平均額は約5,680円だそうです。

1ヶ月間の勤務日数を22日だとすると・・・

平均客数 6人 × 5,680円 × 22日 × 12ヶ月 = 8,997,120円


かなりざっくりとした計算ですが、平均データを元にした場合は年間で約900万円ほどの売上高という結果になりました。

ただこれはあくまでも一例で、従業員の有無やターゲットとしている客層などによってもかなり大きく左右されます。


たとえば、駅近の若者がターゲットの美容サロンでは平日の夜、休日の客数が多くなり、施術もカットだけでなくカラー、パーマ、トリートメント、ヘッドスパなど多数のメニューを合わせる場合が多いため、単価も高めになるでしょう。

また、駅から離れた住宅街にある、近隣住民の主婦、年配客などがターゲットの美容サロンでは平日の客数が多くなる傾向にあり、カットだけの施術が多くなるでしょうから客単価は低めになることが予想されます。


美容サロンの売上高に対する経費率

続いて一般的な美容サロンの売上に対する経費率についても確認しておきましょう。
ちなみに経費率とは、売り上げ高に対してどのくらいの経費が掛かっているのかの割合を示した数字です。


美容サロンでの売り上げに対しての経費率は、約80%程度と言われています。

ただしこれは、従業員を雇用している場合の人件費も含まれている数字ですので、個人で経営している場合の経費率としては約50%程度となります。


もちろん経営努力次第ではもっと節約することもできるでしょうし、施術メニューなどによっても変わってきますが、だいたいの目安として売り上げの半分から8割程度は経費として消えてしまうと考えておけば良いでしょう。

つまり、平均売上高900万円のうち450万~700万円ほどが経費として掛かってしまう計算になるため、最終的に手元に残る金額としては、450万~200万円程度となるわけです。


経費率が比較的高くなってしまいがちな業界ですので、しっかりと稼ぐためには適正な料金設定やターゲットの客層を見定めた上で、売り上げ額と経費率とのバランスを慎重に考える必要があります。

あくまでも簡易的な概算に過ぎませんが、ひとつの目安として参考にしてみてください。


美容サロンの主な経費にはどんなものがある?

事業を営むためには何事にも色々な経費がかかります。
美容サロンを経営する上での一般的な経費は以下の通りです。

  • 人件費(30~40%)
  • 家賃(7~10%)
  • 材料費(10~20%)
  • 水道光熱費(3~5%)
  • 広告宣伝費(10~15%)
  • etc…

これ以外にも、備品や設備類をリースで済ます場合にはリース料が必要ですし、もちろん利益に対しての税金のことについてもきちんと考えておく必要があります。


さいごに

一見華やかに見える美容業界ですが、独立への道は一筋縄では行きません。


しかし、経営が軌道に乗り集客のノウハウなどもきちんと蓄積していくことで、アシスタントやスタイリストの時代より収入が増える可能性は高いでしょう。

なにより、誰にも縛られることなく自分の理想を追い求めたサロン作りをすることが可能というのは、大きなモチベーションとなって背中を押してくれるかと思います。


法人化や複数店舗の経営なども視野に入れた美容サロンのオーナー業へとシフトするといった選択肢もありますし、やり方次第ではいくらでも収入を増やせる業界と言えるでしょう。

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