中小企業や個人事業主の方を応援する施策のひとつとして、国や地方の団体から給付される補助金や助成金という存在があります。
そうした補助金や助成金の中のひとつが、「小規模事業者持続化補助金」というものです。
この「小規模事業者持続化補助金」(中小企業生産性革命推進事業)は、2021年度から通年での公募となり、第4回の締切りは2021年の2月5日までとなっています。
採択の結果の公表は同年の4月頃に予定されており、来年度の経営に給付金を活用することを検討されている事業主にとって、目指すべき受付期間となっています。
というわけで今回は、この「小規模事業者持続化補助金」について、一体どういった補助金なのか、申請方法や対象となる事業主など、詳しく解説していきたいと思います。
「小規模事業者持続化補助金」とは?
「小規模事業者持続化補助金」とは、中小企業庁の補助金制度で、小規模事業者の生産性の向上、持続的な発展の支援を目的とするものになっています。
窓口は地域の商工会、あるいは商工会義所が担当しています。
被災地対策や、今回のコロナなど、感染症対策などで毎年特別枠での公募も行われており、それぞれに補助金額の内容や、申請の要件、受付期間が異なります。
今回は、その中でも一番スタンダードなパターンである「一般型」について詳しく解説していきます。
「持続化補助金(一般型)」
「持続化補助金(一般型)」は、中小企業や個人事業主などの小規模事業者の販売促進等のための地道な販売経路開拓などの取組みを対象とした制度で、販売経路の開拓と同時に、事業の効率化に向けた設備投資やITツールの導入などを行った場合には、それについても補助の対象となります。
生産性の向上に向けての販売経路開拓等、顧客へのアプローチは、同じく生産性の向上に向けた業務効率化などの従業員へのアプローチとしても捉えることができるため、かなり広い範囲が対象の経費として認められます。
ただし、昔は補助の対象となっていたものでも、期間の経過とともに認められなくなってきているものもあります。
例えば飲食店等へのフリーWi-Fiの導入など、一定以上の普及があり、競合との差別化の要因とならなくなったものなどで、現在はフリーWi-Fiの導入はほぼ補助の対象外となっています。
未来を見据えた上で、小規模事業者の持続的な成長に影響のある取組みであるのかという点が重視されますので、いかに説得力のある経営計画を策定できるかどうかが、採択率を上げる重要なポイントとなります。
「小規模事業者持続化補助金」の受付期間は?
通年で公募は実施されていますが、審査があるため、受付の期間が4回に分けられています。
2021年1月現在、第4回受付が行われています。
- 第1回受付・・・締切:2020年3月31日
採択結果:2020年5月22日 - 第2回受付・・・締切:2020年6月5日
採択結果:2020年8月7日 - 第3回受付・・・締切:2020年10月2日
採択結果:2020年12月頃 - 第4回受付・・・締切:2021年2月5日
採択結果:2021年4月頃
「持続化補助金(一般型)」の補助となる事業者は?
法人、個人問わず下記に該当する小規模事業者が補助の対象となります。
個人事業主やフリーランスの場合、開業届を役場に提出していることが前提条件となります。
- 商業、サービス業 : 常時使用する従業員数が5人以下
- サービス業のうち宿泊業、娯楽業 : 常時使用する従業員数が20人以下
- 製造業その他 : 常時使用する従業員数が20人以下
「持続化補助金(一般型)」の補助対象外となる事業者は?
下記に該当する事業者は支給の対象外となります。
- 医師、歯科医師、助産師
- 系統の出荷による収入のみである個人農業者
(個人の林業・水産業者についても同じ) - 協同組合等の組合(企業組合・協業組合は除外)
- 一般社団法人、公益社団法人
- 一般財団法人、公益財団法人
- 医療法人
- 宗教法人
- 学校法人
- 農事組合法人
- 社会福祉法人
- 申請時点で開業していない創業予定者
(例えば、既に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合) - 任意団体
- etc…
ちなみに「特定非営利活動法人」は、以下の要件を満たす場合に限り補助の対象となりますので注意が必要です。
- 法人税法上の収益事業を行っていること
(法人税法施行令第5条に規定される34事業) - 認定特定非営利活動法人でないこと
なお、「常時使用する従業員の数」の適用業種は「その他」として、「製造業その他」の従業員数20人以下を適用します。
「持続化補助金(一般型)」の支給対象となる経費
持続化補助金の支給を受けるには、下記の3つの条件をすべて満たす経費である必要があります。
- 使用の目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費であること
- 交付決定日以降に発生した経費で、対象期間中に支払いが完了した経費であること
- 証拠となる資料等によって支払金額が確認できる経費であること
対象となる経費の一覧
対象となる経費は以下の項目となります。
機械装置等費・広報費・展示会出展費・旅費・開発費・資料購入費・雑役務費・借料・専門家謝金・専門家旅費・設備処分費・委託費・外注費 等
「持続化補助金(一般型)」の支給額は?
「持続化補助金(一般型)」の支給金額は最大で50万円となり、使用した経費の3分の2までが補助率となります。
例えば、経費の支払いに300万円使用したとすると、補助金の支給額が200万円となります。
採択に伴う加点要件がある
採択の際、下記の要件を満たす場合には審査の際に加点されます。
この2つを満たしておくことにより、審査が有利になります。
- 給与の支給総額が年率で平均1.5%以上向上していること
- 事業所内の最低賃金が、地域別最低賃金より30円以上多く支給していること
地道な販路開拓等の取組みとは?
「持続化補助金(一般型)」の申請時には「地道な販路開拓等」、または販路開拓等の取組みと共に行う「事業効率化」のための取組みを販売計画に規定しなければなりません。
対象となる「地道な販路開拓等の取組み」、「業務効率化の取組み」とはどのようなことを指すのでしょうか?
具体的には以下の項目になります。
「地道な販路開拓等の取組み」
- 新商品を陳列するための棚や箱等の購入
(機械装置費) - 新しい販促用チラシの作成や送付
(広報費) - ネット販売システムの構築
(広報費) - 国内、国外への展示会等への出展
(展示会出展費・旅費) - 新商品の開発
(開発費) - 専門家から新商品開発に向けた指導や助言
(専門家謝金) - 小売店の陳列、レイアウト改良や飲食店の店舗改修等、店舗の改装
(外注費)
「業務効率化の取組み」
- 従業員の作業同線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
(外注費) - 業務改善の専門家からの指導や助言による長時間労働の削減
(専門家謝金) - POSレジシステムの導入を行い売上管理業務を効率化する
(機械装置等費) - 労務管理システムの導入を行い人事、給与の管理を効率化する
(機械装置等費)
さいごに
今回は中小企業や個人事業主など、小規模事業者に対する補助金のひとつである「小規模事業者持続化補助金(一般化コース)」について解説してきましたが、いかがでしたか?
これらの補助金をうまく活用して、事業を展開していきましょう。
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