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【2025年最新版】社会保険の「扶養条件」とは?ー今さら聞けない保険の知識ー

同じ扶養という言葉を使っているため混同しやすいのですが、所得税の扶養社会保険の扶養は異なるものです。

所得税の扶養とは、扶養している親族の人数に応じて所得の控除を受けることができる制度のことを指します。

社会保険の扶養とは、被保険者の扶養している親族が、自分自身で社会保険料を負担することなく保険の給付を受けられる制度のことを指します。

この記事では、社会保険に関する扶養について詳しくまとめていきます。

ちなみに、記事内の判別がややこしい言葉の意味は以下の通りです。
・被保険者:家族を養っている者。今回は会社に勤務している人を想定。
・被扶養者:被保険者に養われている者。今回は専業主婦(主夫)、パート、アルバイトを想定。
・保険者 :健康保険制度の契約主体のこと。健康保険制度においては、全国健康保険協会と健康保険組合が運営の主体。

目次

社会保険の種類

社会保険には、以下の5種類があります。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険

上記の5種類のうち、扶養の制度があるのは健康保険厚生年金保険のみとなっています。

雇用保険と労災保険は働いている本人のみしか加入することができません。

介護保険には扶養の制度がなく、自分自身で保険料を納める必要があります。

被扶養者となるための条件は?

日本には国民皆保険制度という制度があり、すべての国民は何らかの社会保険制度に加入することが義務づけられています。
社会保険へ加入することによって、毎月の保険料の支払いと引換えに、万一のときの生活が保障されるという仕組みになっています。

被扶養者は、自分自身で保険料を納付せずに被保険者の扶養へ入ることにより、社会保険に加入することができます。
被扶養者となるためには、以下の4つの条件が必要です。

  • 日本国内に住所を有している
  • 被保険者により主として生計を維持されていること
  • 収入要件を満たす
  • 同一世帯の条件を満たす

ひとつずつ詳しく確認していきましょう。

日本国内に住所を有している

令和2年4月より、日本国内に住所を有していることが条件に加えられました。

ただし、留学生や海外赴任に同行する家族等の日本国内に生活の基礎があると認められるものについては例外として、被扶養者(異動)届または第3号被保険者関係届を出すことで、被扶養者の認定が可能となります。

被保険者により主として生計を維持されていること

生活費の半分以上を被保険者が援助していることです。

収入要件を満たす

収入要件とは、以下のとおりです。

収入要件

被扶養者の年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ

  • 同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
  • 別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

これがいわゆる130万円の壁がこれに当たります。

同一世帯の条件を満たす

住居と家計が共同であるかが判別のポイントとなります。

このときの「共同」とは、戸籍や世帯主であることなどは関係なく、実際に住居と家計が同じであるか否かで判断されます。

例えば、単身赴任などで住居が別々であっても、家計が同じであれば同一世帯と認められます。

一方、二世帯住宅のように住所が同じところであっても、収支が別々であれば家計が異なるため、同一世帯と認められません。

こちらには一定の条件があり、同一世帯であることが求められる家族とそうでない家族がいます。

同一世帯である必要がない家族

  • 配偶者
  • 子、孫、兄弟姉妹
  • 父母、祖父母などの直系尊属

同一世帯である必要がある家族

  • 上記以外の3親等内の親族
  • 内縁関係の配偶者の父母や子

しかし、上記に当てはまっていても75歳以上の後期高齢者医療制度等に加入している親族は、既に保険制度へ加入しているとみなされるため、被扶養者になることはできません。

被扶養者となるための収入要件

被扶養者となるための条件で無視できないのは年間収入です。

社会保険において、今後1年間に見込まれる収入のことを年間収入と呼びます。

被扶養者の必須要件として年間収入が130万円未満であることが条件となっています。

これは月額換算すると108,334円となりますので、きちんと把握しておくことが大切です。

年間収入にはどこまで含まれるのか?

直近の3ヶ月分が収入のベースとして年間収入として判断されるので、実際には年収が130万円を超えていなくても、直近の3ヶ月分の収入が高ければ130万円を超えてしまう場合があります。

例えば4月から扶養に入りたい場合、1~3月の収入の平均額を12倍した金額が130万円を超えてしまうと扶養には入れません。

また、収入には交通費、雇用保険の失業給付や健康保険の傷病手当金、出産手当金も含まれますので注意しましょう。

社会保険の被扶養者加入の手続方法

家族を社会保険の被扶養者とするためには、被扶養者(異動)届を提出する必要があります。
この届けを保険者へ提出し、認定されると被扶養者となることができます。

手続に関しては被保険者が雇用されている会社で行います。

従来は被保険者が申し立てを行えば認定されましたが、2018年10月から健康保険の被扶養者の認定の手続が厳格化されました。

それに伴い、現在では続柄確認と収入確認をするための書類添付が必須となっています。

  • 続柄確認のために必要な書類:戸籍謄本、戸籍抄本あるいは住民票など
  • 収入確認のために必要な書類としては課税証明書など

被扶養者が別居しており、仕送りや送金を行っている場合であれば、仕送り額が明記されている通帳等のコピー、現金書留のコピー、証明書類などが必要となります。

さいごに

オーティス税理士事務所では、税務の専門家として気軽に頼っていただけるように、事前相談はすべて無料で行っております。

そのため今すぐの顧問契約を考えていない方でも、ご予約を歓迎しております。


お客様がご納得いただけるまで何度でも相談していただき、ぜひすべての不安を解消した上で今後の流れを決めていきましょう。

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この記事を書いた人

大槻 直志のアバター 大槻 直志 税理士

オーティス税理士事務所の代表税理士。専門分野は法人税、所得税、消費税。

スタートアップから年商数十億規模の会社まで幅広く顧問先を担当。
過去報告だけでなく、将来予測ベースでの経営の見える化を支援しています。

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