会社設立 or 個人事業主

独立して事業を運営する形態には大きくわけて個人事業主法人の2通りがあります。この2つの形態にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、一律の基準でどちらかをお勧めすることはできません。

ここでは、個人事業主の場合と比較したときの、会社設立のメリットとデメリットを説明します。ご自身の事業とその将来像をイメージしたとき、どちらがより適しているのかの参考にしてください。

会社設立のメリット

  • 節税できる
  • 信頼を得ることができる
  • 相続時の手続きがシンプル
  • 家計と事業を明確に分けられる
  • 会社が破産しても社長は破産しなくてよい

会社設立のデメリット

  • 社会保険に加入しなければならない
  • 赤字でも年間数万円の法人税がかかる
  • 設立に費用がかかる

会社設立のメリット

節税できる

所得税の節税

個人事業で一定金額以上の利益(所得)が出ている場合、法人税の方が安く収まります。

その一定金額の利益とは、だいたい500万円から600万円あたりです。継続して毎年500万円の利益を出している場合は、節税の面から法人化の意味がでてきます。

消費税の節税

多くの場合、事業者は事業を開始してから2年間は消費税を納めなくてもよい事業者です※。

そして、3年目の事業年度から消費税を払わなければならない事業者になるのが一般的です。現在個人事業主であり、且つ消費税を納めなければならない方の場合、法人化することでこれらか先2年間は消費税を納めなくてもよい場合があります。

※一定要件を満たす事業者は該当しません

信頼を得ることができる

個人事業主であるよりも会社の方が信頼を得られやすい形態です。会社を設立すると、法務局という国の機関に会社の情報を登録しなければなりません。

これにより、会社名、本店所在地、事業目的、役員、資本金、代表役員の住所などの情報が誰でも閲覧できる状態になり、社会に対する責任を持つことがより意識されることになります。

特に法人を相手に取引を行う会社の場合、取引要件に「法人であること」が多々見受けられます。

相続時の手続がシンプル

個人事業主と比較した場合、相続税はどちらが安くなるかは単純比較はできませんが、相続時の手続はシンプルです。

個人事業主の場合は、事業で使用している資産や負債の名義をひとつひとつ変更する必要がありますが、法人の場合、一つ一つについて手続する必要はありません。

家計と事業を明確に分けられる

個人事業の場合、売上から経費を差し引いたあとに残るお金は全て事業主が自由に使っていいお金になります※。

そのため、会計上事業と家計の収支を明確に区分することが困難になってしまいます。

法人は社長個人とは全く別の人格として扱わなければならないため、事業と家計を明確に分けることが容易となります。

会社が破産しても社長は破産しなくてよい

個人事業で事業が立ち行かなくなって破産した場合、基本的には社長個人の財産は全て手放さなければなりません。

しかし、法人が破産した場合には、一定要件を満たした借金であれば社長個人にまでその借金の責任は追求されず、社長個人の財産を手放す必要はありません。

会社設立のデメリット

社会保険に加入しなければならない

社会保険とは健康保険・介護保険・厚生年金の総称です。

法人を設立すると社会保険への加入は義務となり、一定要件を満たす社員の給与額面の15%を会社が負担して支払わなければなりません。

個人事業主である場合と比較した場合、単純に人件費が15%増える計算になります。

個人事業主から法人化する場合は、会社負担分の社会保険料を踏まえて社員の給与を見直す必要があるかもしれません。

赤字でも年間数万円の法人税がかかる

法人を設立場合、赤字であっても支払わなければならない均等割という法人税が存在します。

これは、都道府県や市区町村が課す法人税のうちの一種です。

都道府県、市区町村によって金額は異なりますが、だいたい7万円から9万円の間に収まります。

設立に費用がかかる

個人事業主として事業を始める場合、役所に支払わなければならない費用はありません。

しかし、法人(株式会社)として事業を始める場合は約20万円程度の費用(定款認証費用5万2千円、登録免許税15万円)

がかかります。また、事業を終えるために会社を畳む場合も、

まとめ

どちらが有利かの判定は、税金や社会保険料の金額だけで判断するのではなく、雇用関係や取引先との取引も考慮する必要があるなど、総合的な視点が必要です。


最近では、個人事業主と法人の有利判定を中立的かつ総合的な目線で行わず、強引に法人設立を後押しする業者も存在します。


法人設立を検討するときは、総合的な視点からメリットデメリットをよく考え、焦らずに判断することを勧めします。

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