レンタルオフィスでも法人登記は可能?メリットデメリットも詳しく解説

働き方の多様化により、事業を始める際の事務所の選択肢のひとつとして新たに加わったレンタルオフィス。みなさんはご存知でしょうか?

今回はこのレンタルオフィスがどういったものなのか、また事業を始める際のデメリットについて詳しく解説していきたいと思います。

目次

レンタルオフィスとは?

レンタルオフィスとは、住所をレンタルすることができるサービスで、実体を持たないバーチャルオフィスなどとは異なり、実際に執務が可能な個室で区切られたスペースを借りることを指します。月額料金でレンタルすることが可能で、あらかじめ机や椅子、インターネットなどの通信環境が整っているため、必要最低限の設備を持ち込めば、すぐに仕事を始めることが可能です。

レンタルオフィスではそういった設備だけでなく、運営会社によってはお客様が来店されたときに対応が出来る受付や、電話秘書サービスなどの代行業務、法人の設立、会計の際の記帳代行…などなど、ビジネスにおける各種サポートなどを請け負っている業者もあります。こうした起業や経営関連をサポートしてくれる業者については「サービスオフィス」や「インキュベーションオフィス」などとも呼ばれています。

レンタルオフィスで法人登記は可能なの?

会社法において、レンタルオフィスやシェアオフィス等の共同オフィスでの会社設立は禁止されていません。つまり、レンタルオフィスの運営会社が認めているのであればレンタルオフィスの住所を使っての法人登記は可能です。

ただし、事業の中には許認可が必要な業種もあり、ある一定以上のスペースが必要な業種や、独立した事務所がなければ許認可が下りない業種などに関しては、会社の設立はできても営業許可が下りないなどという問題もありますので、注意してください。

レンタルオフィスのメリット

レンタルオフィスのメリットには、以下のような項目が挙げられます。

  1. 個人情報が守られる
  2. 初期コストを抑えられる
  3. 借りてすぐに仕事を始められる
  4. ランニングコストが安い
  5. 許認可が必要な業種での開業も可能
  6. 契約期間の設定が柔軟なので便利
  7. 清掃はレンタルオフィスの提供元が対応
  8. 人気の場所に本店所在地をおくことが可能
  9. 秘書や受付代行業務の利用も可能

各項目について、ひとつずつ詳しく解説していきたいと思います。

1.個人情報が守られる

開業したばかりの個人事業主、フリーランスなどの場合、自宅を兼オフィスとして使用することが多いため、自宅の住所を名刺に記載したり、法人の際には登記をしたりすることがあります。

しかし、その場合には、不特定多数の人に自宅の住所が知られてしまいますので、特にご家族と同居している場合などで個人情報にあたる自宅の住所や電話番号を載せたくないという方も多いでしょう。

そういった場合にレンタルオフィスであれば、ビジネス用にレンタルした住所、電話番号が名刺や登記などに使用できるうえ、セキュリティも万全であるため安心してビジネスを開始することが可能です。

2.初期コストを抑えられる

もし、賃貸で事務所を借りるとすれば、敷金や礼金に加え賃料、仲介手数料など多額の費用がかかります。また、一般的に新しく事業を始める場合には、賃貸の事務所や自宅の場合、内装工事や机、椅子などの什器類、インターネットなどの通信設備の導入準備にも時間や費用がかかります。

その点、レンタルオフィスであれば、賃料の3ヶ月分程度、もしくは保証金なしというところも多く、もともと机や椅子、インターネットの設備なども整っており、内装工事も不要ですので、初期コストをかなり抑えることが可能です。

3.借りてすぐに仕事を始められる

賃貸の事務所とは違いレンタルオフィスであれば、ある程度の内装やインターネット環境などの設備があらかじめ整っています。そのため、必要最低限の設備を持ち込むだけで、すぐに仕事を始めることが可能となっています。

4.ランニングコストが安い

賃貸の事務所の場合には賃料はもちろんのこと、水道光熱費、共益費などもコストに組み込んで計算しなければなりません。

レンタルオフィスであれば、賃料だけでも事務所を賃貸で契約するよりも安い場合が多く、さらには水道光熱費、共益費は月額料金内に含まれている場合もあります。

5.許認可が必要な業種での開業も可能

事業の中には許認可が必要となる業種も存在します。例えば税理士などの士業、有料の職業紹介業、不動産業、生命保険の代理店などは、開業のために許認可をとるにあたって、自分専用のスペースを持っていることが求められますので、実際に執務のスペースがないバーチャルオフィスやシェアオフィスでは許認可が降りません。

レンタルオフィスであれば、自分のスペースが持てるため、許認可が必要な業種での開業も可能です。

6.契約期間の設定が柔軟なので便利

賃貸の事務所の場合では、数年単位で賃貸契約を結ぶことが多く、途中の引越しや事務所の移動が難しい場合があります。人員増加などで事務所が手狭になってしまい、契約期間中に事務所を移転しなければならない場合、大抵は途中解約による違約金が発生するので、そういった契約は不利になることがあります。

レンタルオフィスであれば、契約の延長や解約などの契約期間の設定について、比較的柔軟な対応を取っている業者が多いです。

7.清掃はレンタルオフィスの提供元が対応

業務とは直接関係ありませんが、掃除の問題もあなどれません。食事の際に出たゴミや、シュレッダー屑など、毎日長時間過ごす職場では必ずゴミが出ます。また、汚れた事務所は会社のイメージを損なうため、フロア内の掃除も欠かせません。ゴミの分別や掃除などは思った以上に大変な作業になるので、繁忙期ともなれば掃除まで神経が行き届かず、清掃業者へ掃除の依頼をしている企業も多く見られます。

レンタルオフィスであれば、共有スペースも多いため、衛生面を考慮してほとんどのレンタルオフィス運営会社では定期的に清掃のサービスを行っています。掃除やゴミ捨てのことを気にせず仕事できるということは、思っているよりも快適なことです。

8.人気の場所に本店所在地をおくことが可能

一般的に、レンタルオフィスは新宿や渋谷など、大きくて便利な駅の近くに構えている場合が多く、クライアントとの商談や業者などとの打ち合わせの際、アクセスが良いのも利点と言えます。

また、一等地にオフィスを構えていることにより、名刺やホームページへその住所を記載することによる会社のブランディングにもなります。

9.秘書や受付代行業務の利用も可能

郵便物や宅急便の受取りや、電話の対応サービスや営業の代行サービスまで受付けている運営会社もあります。また、社内業務の一部である資料作成や印刷、料金請求や入金の管理まで行っているケースもあるため、場合によっては非常に便利に活用することができます。

このサービスが月額料金に組み込まれているか、オプションになるかはレンタルオフィスの運営会社により異なりますので、必要であれば事前に確認しておきましょう。

レンタルオフィスのデメリット

一般的に以下の項目が挙げられます。

  1. 賃料が割高
  2. 思ったより料金がかかる場合がある
  3. 来客が多い場合に対応が難しい
  4. 利用可能時間が制限されている
  5. セキュリティの管理が大変
  6. プライバシーがあまりない
  7. 改装することができない
  8. レンタルオフィスを運営している会社が潰れてしまう場合がある

それでは、ひとつずつ詳しく解説していきたいと思います。

賃料が割高

レンタルオフィス業者のビジネスモデルとしては、オフィスそのものの賃貸料以上の料金をレンタルオフィスの利用料として、利用者に上乗せして請求することによって収益を得ています。そのため、どうしても通常より割高の利用料を支払う必要があります。

その上、レンタルオフィスの運営会社が、最初にオフィス内を整えるためにかかった費用(内装工事や机、椅子などの什器設置、インターネットなどの通信環境)を月々の利用料金にプラスしていますので、結果的にコストが高くなってしまう場合があります。

予定外の料金がかかる場合がある

来客対応や郵便の受取代行、中にはテレアポなどの営業代行まで、レンタルオフィスでは様々なオプションサービスが充実しています。便利なオプションサービスやプランなどの内容や料金をきちんと確認せず、必要以上に利用していた場合、知らず知らずの間に料金が高くなってしまっているなどというケースもあるので、料金プランをしっかり確認する必要があります。

来客が多い場合に対応が難しい

来客が多くなる業種の場合には、個別スペースしかないレンタルオフィスでは全てに対応することが難しいことがあります。運営会社によっては、会議室や打ち合わせができるスペースを設けているレンタルオフィスもありますが、事前にそういった設備があるのかよく確認することが必要です。

利用可能時間が制限されている

賃貸の事務所や自宅を事務所として兼ねている場合は、レンタルオフィスの場合、基本的には利用時間帯が決まっています。

たいていのレンタルオフィスでは、深夜の時間帯は利用ができない場合が多く、海外との打ち合わせが多い方や、深夜の方が集中できるので深夜に仕事がしたいという方は、事前に利用時間の確認が必要となってきます。中には24時間利用可能なレンタルオフィスもあるので、事前に確認した上で契約しましょう。

セキュリティの管理が大変

レンタルオフィスの場合、不特定多数の人の出入りがあり、インターネットの回線(Wi-fiなど)は基本的に共有しているため、セキュリティの管理はしっかりと行う必要があります。

個室には鍵が付いていて、ロッカーも設置されているところが多いですが、貴重品の管理などにも十分気をつけなければなりません。物品だけでなく、インターネット通信を行う際にも注意が必要で、共有のWi-fiに繋いで大切な情報やメールなどにアクセスしてしまうと情報が盗まれてしまう場合があるので注意が必要です。

プライバシーの問題

レンタルオフィス内で用意されている商談スペースは、オープンになっているところや、仕切りがあっても簡易的な場合も多く、商談中の話し声が漏れてしまうといったことも多々あります。

改装することができない

レンタルオフィスはあくまでも個室のレンタルということになるため、据置きの家具などを入れ替えることは出来ません。

自分好みに改装したり、好きな家具に入れ替えたりできないのはもちろん、個室のスペースになので、在庫を抱えなければならないような広いスペースが必要な業種には使用が向いていないケースがあります。また、大きな機材を持ち込まなければならない業種にも向いているとはいえません。

運営会社が潰れてしまう可能性がある

今は個人の起業、創業が増えているため、レンタルオフィスの需要も盛り上がっていくことが予想されます。しかし、競合が増えれば増えるほど、競争に勝てず廃業していく会社が出てくることは避けられません。

もしもレンタルオフィスの運営会社が廃業してしまった場合、事務所の移転をしなければならなくなってしまいます。そうなれば別のオフィスを探し、会社の本店所在地の住所の移転登記を行い、税務署へ届出を行い、名刺やホームページなども変更…と、時間も費用もかなりのコストがかかってしまいます。

レンタルオフィスを選ぶときには、運営会社のホームページなどで契約者の数や今までの実績、利用者の口コミなどを確認し、直接自分の目で必ずレンタルオフィスを確認しに行くなど、信頼できるレンタルオフィス運営会社の見極めが大切です。

レンタルオフィスで法人登記する場合の注意点

稀に犯罪や社会問題になった会社の住所がレンタルオフィスであったという事例を聞くことがあります。クライアントが会社の住所を調べた際、過去に事件があった場所と同じ住所だと知られたらイメージダウンに繋がる場合もあるでしょう。

また、一度法人登記してしまうと、会社の本店所在地を変更するのは簡単なことではありません。住所変更のための変更登記が必要となり、定款の変更、名刺やホームページへ記載している住所の変更なども行わなければならなくなってきます。そういった事態にならないよう、レンタルオフィスの運営会社についても、すぐに倒産する可能性がないかなど、営業状況を確認しておく必要があります。

さいごに

今回はレンタルオフィスを利用する上でのデメリットについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?

なにごとにもメリットもあればデメリットもありますが、短期的に見ればレンタルオフィス、長期的に見れば別の方法をとった方が良いかもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

監修

大槻 直志のアバター 大槻 直志 税理士

オーティス税理士事務所の代表税理士。専門分野は法人税、所得税、消費税。

スタートアップから年商数十億規模の会社まで幅広く顧問先を担当。
過去報告だけでなく、将来予測ベースでの経営の見える化を支援しています。

コメントする

目次