「バーチャルオフィス」で も登記は可能?手順を分かりやすく解説

みなさんは「バーチャルオフィス」というものをご存知ですか?

バーチャルオフィスとは、住所や電話番号などをレンタルできるサービスのことで、実際にその場所で実務を行ったりするわけではありません。

ただ、実務は行いませんがレンタルした住所や電話番号を使い、謄本に登記をしたり、取引先やクライアントへ公開することができます。

そこで今回は、バーチャルオフィスの住所や電話番号で登記をした場合の登記費用や納税地についてなど、詳しく解説をしていきたいと思います。


「バーチャルオフィス」を使っての登記

会社を設立するにあたり、本店所在地の登記場所には制限はありませんので、「バーチャルオフィス」としてレンタルした住所を会社の本店所在地として登記することが可能となっています。

ただし、同一住所に同じ法人名で複数の会社を設立することはできませんので、その点には注意が必要です。

登記を行う前に、管轄の法務局で同じ住所内に類似している商号が存在しないかどうかを調べておく必要があります。

「バーチャルオフィス」で登記する方法

「バーチャルオフィス」で登記する手順は以下の通りです。
各項目についてひとつずつ詳しく解説していきたいと思います。

  • 「バーチャルオフィス」で契約を締結する
  • 「定款」を作成する
  • 公証役場で「定款」を認証してもらう
  • 登記に必要な書類をそろえる
  • 法務局へ必要な書類を提出する
  • 「バーチャルオフィス」へ登記簿謄本を提出する


「バーチャルオフィス」で契約を締結する

まずは登記手続に先立って「バーチャルオフィス」の住所をレンタル契約しておく必要があります。

よくありがちなのが、バーチャルオフィスの契約をする前に法人登記を行ってしまうケースです。

バーチャルオフィスを法人名義で契約するため、先に法人設立の手続をしなければならないと勘違いしがちですが、注意が必要です。

必ず先に「個人」でバーチャルオフィスの契約を結んでから法人登記し、その後に法人契約に切替えるという順序で進めましょう。


「定款」を作成する

「定款」を作成する際には、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つの記載が必要となります。

具体的な定款の作成方法については、当サイトの別記事にて詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。


公証役場で「定款」を認証してもらう

「定款」は公証役場という場所へ持ち込んで認証してもらいます。
定款の認証については、設立するのが「合同会社」の場合には必要ありません。

こちらも詳しくは別記事にて解説していますのでご確認ください。


登記に必要な書類をそろえる

登記に必要な書類は以下の通りです。
不備のないように揃えておきましょう。

  • 登記申請書
  • 登録免許税分の収入印紙を貼付けたA4用紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 監査役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込を証明する書類
  • 印鑑届出書
  • 登記すべきことを保存したCD-RかFD


法務局へ必要な書類を提出する

上述した書類を提出する場所は、本店所在地を管轄する法務局となっています。
自宅の最寄りの法務局ではありませんので注意が必要です。

書類を法務局へ提出した日が「会社の設立日」となりますので、こちらも覚えておきましょう。


「バーチャルオフィス」へ登記簿謄本を提出する

上述した通り、法人で「バーチャルオフィス」の住所を使用するにも、契約時は個人契約となっているため、法人として登記後、速やかに法人契約への切替えが必要です。

バーチャルオフィスの提供会社へ法人登録した社名を伝えておかなければ郵便物が届かない場合があるので、バーチャルオフィス提供元への登記簿謄本の提出が必要な点にも注意しておきましょう。


「バーチャルオフィス」で登記後に住所変更をする場合

本店の所在地は、登記後であってもいつでも移転することが可能となっているため、バーチャルオフィスのレンタル住所を使って登記した後でも住所の変更をすることは可能です。

ただし、本店所在地の移転の登記手続には「登録免許税」がかかってしまいまいますので注意が必要です。

登録免許税の金額は、移転先の本店所在地が移転前の本店所在地と同じ法務局の管轄内か管轄外かで変わってきます。

  • 移転先の本店所在地が移転前の本店所在地と同じ法務局の管轄内…3万円
  • 移転先の本店所在地が移転前の本店所在地と同じ法務局の管轄外…6万円

さらに、移転の登記を専門家へ依頼するのであれば、その専門家へ支払う報酬として、おおよそ3~4万円の費用が発生します。

その他にも設立時に作成した定款の内容によって、本店所在地を最小行政区画までにしているのか、番地まで細かく登録しているのか、本店移転に際し株主総会が必要かなど、必要な費用は変わってきますので注意しておきましょう。


「バーチャルオフィス」で登記した場合の納税地はどうなるか?

「バーチャルオフィス」で会社の住所を登記した場合、納税地はどこになるのでしょうか?

バーチャルオフィスを利用した場合には、勤務地に関する住所はバーチャルオフィスでレンタルした住所と自宅住所の2つ存在することになります。

この場合には納税地は2つのうちのどちらかを任意で選択することができます。

個人事業主の場合は開業届出書、会社を設立する場合は法人設立届出書を税務署へ提出します。
その書類内で、バーチャルオフィスの住所か自宅住所かを指定することで納税地が確定します。


個人事業主の場合

個人事業主が事業を始める際には、税務署へ「個人事業の開廃業等届出書(開業届出書)」を提出します。

開業届出書には、「納税地」「脳性地以外の住所他・事業所」を記入する欄がありますので、そちらを記入する住所で納税地が決定することとなります。

ただ、「納税地」「脳性地以外の住所他・事業所」にどちらか一方の住所しか記入されていないと、記入がなかった方にかかる自宅住所であれば家賃、バーチャルオフィスであれば利用料が経費として計上できなくなってしまいます。

納税地にバーチャルオフィスの住所、納税地以外の住所他、事業所に自宅の住所を書いておけば家賃や光熱費などを費用として計上できることもあります。


会社を設立する場合

法人として起業した場合には、税務署へ「法人設立届出書」内にある「その法人の本店または主たる事務所の所在地が納税地となります。

これは、本店所在地として届け出た住所を管轄する納税署へ納税するということになります。

本店所在地をバーチャルオフィスへ設定した場合であっても、事務所として自宅の住所を届け出ることで自宅のほうの住所で納税することもできるようになります。

会社での登記の場合にひとつ注意しなければならないことがあるとすれば、「法人住民税」という地方税です。

自宅住所とバーチャルオフィスの住所を本店所在地と事務所の所在地に設定したときに、場合によっては法人住民税を2ヶ所で納めなければならないことがあります。


そこでバーチャルオフィスはあくまでも住所だけの利用で基本的には業務は自宅の住所で行うという事実を証明することにより法人住民税を1ヶ所にまとめられるケースもあります。


さいごに

今回は「バーチャルオフィス」での登記や、納税地の問題について解説してきましたがいかがでしたか?

解説した内容を踏ふまえた上で、よりよい選択ができるよう祈っています。

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