「バーチャルオフィス」の抑えておくべきメリット・デメリットについて解説

会社を設立するにあたって、近年新しく選択肢の一つに出てきた「バーチャルオフィス」。
そもそも「バーチャルオフィス」とはどういった存在なのでしょうか。

というわけで、今回はそんな「バーチャルオフィス」についてのメリットとデメリットについて詳しく解説していきたいと思います。


バーチャルオフィスのメリット

「バーチャルオフィス」のメリットとしては、具体的に以下の5つの項目が挙げられます。

  • 代行サービスの利用が可能
  • すぐに住所を用意することが可能
  • 低コスト
  • 交通の利便性が高い
  • プライバシーを守れる
  • ブランディングができる


代行サービスの利用が可能

「バーチャルオフィス」には住所のレンタルの他にも、副次的なサービスとして、各種代行サービスが存在します。

電話対応や来客の対応など、忙しい経営者にとってはありがたいサービスも多いため、必要に応じて利用してみるのもいいかもしれません。


すぐに住所を用意することが可能

レンタルオフィスなどを契約する場合には場所や物件の選定にも時間がかかる上、実際の契約に至るまでにも内見、審査などがあり、最短でも1ヶ月ほどの期間がかかってしまいます。

申込み時に準備しなければならない書類も多く、敷金や礼金、前払いの賃料などで初期費用も多くかかります。

しかし「バーチャルオフィス」では、個人契約であれば運転免許書、保険証、パスポートなどの本人確認書類の提出のみで済み、法人契約であっても会社の登記簿謄本と代表者の本人確認書類の2点さえ用意すれば契約が可能です。

その全ての作業がオンラインのみで行えるところも多く、審査も即日完了できたり、思い立ってすぐに住所を用意することが可能となっています。


低コスト

「バーチャルオフィス」では、あまりコストをかけずに法人登記や会社設立の各種手続に必要な住所を入手できます。

会社を設立したばかりで売上が不安定な時期に、オフィスを借りるための敷金や礼金、保証金などのコストや毎月の家賃、冷暖房費などのランニングコストは大きなリスクとなります。

しかしバーチャルオフィスであれば、敷金・礼金などのコストは一般的にほとんど必要ありません。

都心の一等地であっても、住所や電話番号だけのレンタルであれば月額5,000円前後、上述のオプションサービス等をつけても月額10,000円前後と、レンタルオフィスなどに比べるとかなり低コストで済ませることが可能です。

これはバーチャルオフィスの最大のメリットといってもよいでしょう。

事業が軌道に乗るまではバーチャルオフィスで初期コストを抑え、ある程度軌道に乗ってから実在するオフィスをレンタルする方も多く見られます。


交通の利便性が高い

「バーチャルオフィス」は一般的には駅近くのビルであることが多く、交通の利便性が高い場所にあります。

クライアント等の商談に会議室をレンタルした場合も、駅から近ければそれだけ利便性も上がるため大きなメリットと言えるでしょう。


プライバシーを守れる

オフィスを構えるにあたり、一番低コストで済む方法は自宅をオフィスとして兼用することでしょう。

ですが、自宅の住所は極めてプライベートな情報であり、名刺やホームページにその場所を明記するというのはいささか抵抗を感じる方もいるでしょう。

コストは最小限に抑え、プライバシーも守りたいという場合には「バーチャルオフィス」の選択肢は最適といえるかと思います。


「ブランディング」ができる

「ブランディング」とは、経営上の戦略として、会社としてのブランドの構築や管理を行うことです。

「バーチャルオフィス」では、起業したばかりの経営者や個人事業主では借りることが難しい都心部や、人気の高いビジネスタウンの住所を会社の所在地とすることが可能です。

知名度があり、土地柄が良い場所に本社を構えることにより、金融機関やクライアントから一目置かれることに繋がり、ブランディング効果が高まるというわけです。


「バーチャルオフィス」のデメリット

では「バーチャルオフィス」のデメリットとしてはどういったものがあるでしょうか?
具体的には以下のような内容が挙げられます。

  • 銀行口座の開設が難しい
  • 職種によっては許認可がおりない
  • 重要書類を保管できない
  • 運営会社によりサービスに差がある


銀行口座の開設が難しい

「バーチャルオフィス」の最大のデメリットと言えるのが銀行口座に関する問題です。

法人名義で銀行口座を開設する場合、必ず法人の登記簿謄本を提出する必要があります。

その際、提出された登記簿謄本の本店住所を元に口座開設の審査がなされるため、本店の登記場所がバーチャルオフィスであった場合、審査が通らない場合が多々あります。

法人口座は犯罪に利用されやすいため、金融機関側もどうしても慎重な対応を取らざるを得ないため注意が必要です。


職種によっては許認可がおりない

営業行為を行う業種の場合、実際に存在するオフィスがなければ許認可が取得不可能なケースがほとんどです。

例えば、以下のような職業は「バーチャルオフィス」では許認可がおりません。

【職業紹介業】

求職者と面談を行う個室を設置しなければ、厚生労働大臣の許認可を申請できません。

【弁護士や税理士、行政書士といった士業】

実体のあるオフィスがなければ弁護士であれば弁護士会、税理士であれば税理士会などに登録できません。


【建設業】

実体を伴うオフィスがなければ請負業者の見積もりや入札、契約締結の許認可を受けることができません。


【探偵業】

実体のあるオフィスがなければ探偵業届出証明書の取得はできません。
この他にも、生命保険の代理店や人材派遣業などはバーチャルオフィスでは許認可がおりません。


重要書類を保管できない

「バーチャルオフィス」には基本的に私物などを保管しておくスペースがないため、重要な契約書や個人情報などの大切な書類を置いておくことはできません。

そうした場合、自宅で保管するしかありませんが、自宅のスペースにも限界はありますし、私用の書類と混在してしまうリスクなどもあります。

万が一重要書類の紛失、特に個人情報の漏洩は、社会的に信用を失うだけではなく罪にもなりかねませんので別で徹底した管理が必要となります。


運営会社によりサービスに差がある

「バーチャルオフィス」が提供するサービス内容は基本的には「住所貸し」です。
その他のオプションについては運営している会社ごとに異なってきます。

契約を行う際には法人登記が可能かどうか、電話対応はあるかなど、自身がバーチャルオフィスに求めているサービスがあるかどうか、しっかり確認する必要があるでしょう。


さいごに

今回は「バーチャルオフィス」利用時のメリットとデメリットについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?

コストを抑えるためにバーチャルオフィスで本店登記をしたのはよいが、銀行口座を開設できずに会社を設立した直後に移転登記せざるを得なくなったという失敗談はよくあるそうです。

そうなると無駄な事務手続が増えるだけでなく、免許登録税もバーチャルオフィス代も無駄にかかってしまい、低コストで済ませるつもりが逆に高くつくという本末転倒な事態に陥ってしまいかねません。

今回ご紹介したメリットとデメリットをしっかり踏まえたうえで最適な決断をなさってください。

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