会社を設立するとなった際、避けて通れないのが会社の「設立日」をいつにするかという事です。
中には「会社設立日」が自由に決められるという事をご存知でない方も多いかもしれません。
上手に設定することで税金を節約することもできるため、これから会社を設立する方などはぜひ知っておきたい情報でしょう。
しかし自由に決められるとは言っても、どうやって「会社設立日」を決めれば良いかわからないこともありますよね。
そこで今回は、「会社設立日」がどういったものか、いつにすればいいのかなどについてもわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
「会社設立日」とはなにか?
「会社設立日」とは、「法人登記の申請を法務局に指定した日」のことです。
登記が完了した日と間違いやすいので、希望の設立日がある方は注意しましょう。
登記申請をした日付が「会社設立日」となります。
登記申請は定款が認証された後であればいつでも可能ですが、以下の通り登記の申請方法によって登記申請日が異なりますので注意しましょう。
・窓口で申請した場合の設立日・・・法務局に申請書を「提出」した日
・郵送で申請した場合の設立日・・・法務局に申請書が「到着」した日
・オンラインで申請した場合の設立日・・・登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から申請を行い、申請先の登記所等に「データが受理された」日
「会社設立日」に指定できない日も
法務局の休業日である土日祝日や、年末年始である12月29日~1月3日に登記申請を行うことはできません。
また、法務局の開庁時間外には申請できませんので、取扱時間内である8時30分~17時15分までに間に合うよう、申請を行いましょう。
オンラインや郵送などで法務局がお休みの日に申請をしたとしても、受理がされないので、法務局が受付を行った日が「会社設立日」となってしまいますのでご注意ください。
「登記ねっと 供託ねっと」について
法務局は平成23年から登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」というサービスを運営しています。
これを利用することでインターネット上から便利に商業・法人登記や債権譲渡登記の手続を行えるようになりました。
しかし、この「登記ねっと 供託ねっと」の申請システムには利用時間が設定されており、平日の8時30分~21時となっています。
土曜日、日曜日、祝日や年末年始などは利用できないようになっていますので注意が必要です。
なお平日であっても17時15分以降に申請した場合は、法務局の対応時間外であるため、翌営業日にデータの受理が行われます。
「会社設立日」は変更できる?
「会社設立日」は一度設定してしまえば、後から変更することはできません。
法人の登記内容について、名称や住所などの情報であれば設立後に変更が可能ですが、「設立日」に関してだけは一度決めたものを後から変更することができなくなっています。
意中の「設立日」がある方は、後で変更はできないということをしっかりと認識し、当日までに余裕をもって登記申請の準備をしておきましょう。
「会社設立日」と勘違いしやすいものに注意
会社設立日と勘違いしやすい存在として「登記完了日」「事業開始日」「決算日」の3つがあります。
なんとなく「会社設立日」と似ているように感じますが、定義としては似て非なるもの。
それぞれの違いと意味合いについて説明していきます。
登記完了日
「登記完了日」とは、「法務局に申請した登記が完了した日」になります。
登記を申請すると、法務局では提出された書類をチェックしたり、謄本を作成したりというような作業が行われます。
上記の作業が完了した日を「登記完了日」といいます。
登記完了までには申請後、おおよそ1週間程度の時間が必要ですので一般的には会社設立日の約1週間後が登記完了日となります。
この登記完了日以降に会社の謄本である商業登記簿謄本や、印鑑証明書などを取得することができるようになります。
事業開始日
「事業開始日」とは、「税金の計算の際に参照される日付」になります。
所得税や法人税、消費税など税金の種類によって「事業開始日」は異なりますので、以下を参考にしてください。
所得税の事業開始日・・・明確な規定はないが一般的には実際に事業を開始した日
法人税の事業開始日・・・法人の設立日
消費税の事業開始日・・・一般的には法人の設立日
気をつけなければいけないのが、「会社設立日」の翌日からすぐに事業を始められる訳ではないということ。
事業を開始するには会社の銀行口座が必要不可欠ですが、会社の口座を開くためには登記を完了して商業登記簿謄本を取得する必要があります。
口座を作成する前に営業活動を始めることに問題はありませんが、事業の開始には「設立日」から1週間~10日程度の時間がかかるものと心得ておきましょう。
決算日
「決算日」とは、「1事業年度の終了日」のことです。
「決算日」は「会社設立日」から1年以内であれば、自由に決定することができます。
定款を作成する時に会計年度を定めることになるのですが、それに伴い「決算日」の設定が必要になります。
「会社設立日」から「決算日」が近すぎると、節税対策などを行う時間的余裕がなくなってしまうので、ある程度余裕をもって設定しましょう。
「会社設立日」はいつが良い?
「会社設立日」を自分で自由に決められることはわかりましたが、決めるにあたって何かポイントはあるのでしょうか?
もちろん自分の好きな日に決めればよいのですが、悩んでいる方向けにお勧めの「会社設立日」の決め方をご紹介していきたいと思います。
「縁起」を担ぐ
経営者の中には大変「縁起」を気にされる方も多いです。
起業向けの縁起が良い日としては、以下のものが挙げられます。
天赦日、大安・・・暦において吉日とされる日。
一粒万倍日・・・起業によい日。
寅の日・・・金運が最高。この日に使ったお金は返ってくるといわれている日。
8のつく日・・・末広がりを意味する「八」の数字は縁起が良いとされている。
ただし、こういった縁起の良い日の中にも「不成就日」といった日が重なっている場合があるため要注意です。
この日は何事も成就しない日、悪い結果だけを招く日という意味があり、結婚や開店、引っ越し、契約、願い事など、様々なことが凶となっていて、物事を始めるには適さない日とされています。
「節税」を考える
最も多くの経営者が気にしているのが「節税」に関する情報です。
「会社設立日」をうまく指定することで節税効果が期待できるケースもあるため押さえておくべきでしょう。
ここでは参考までに「法人住民税」が節税できるケースをご紹介します。
法人住民税「均等割」を減らす方法
会社を設立すると、赤字であっても「法人住民税」の均等割部分の税金が発生してしまいます。
住民税の均等割の計算方法は、事業年度が12ヶ月未満の場合は月割になります。
また1ヶ月未満の端数は切捨てとなります。
例えば3月1日を「会社設立日」とした場合、3月は均等割の月数に計算されますが、3月2日を「会社設立日」とすれば3月分は端数として切捨てになります。
つまり住民税均等割を1ヶ月分節約することができるため、細かい話ですがぜひとも押さえておきたいポイントとのひとつと言えます。
さいごに
「会社設立日」についてここまで解説してきましたがいかがでしたか?
縁起の良い日や節税効果のある日など、気にするべきことはありますが、自分の納得できる日に設立できるとよいですね。