「合同会社」設立マニュアル-社会保険の加入義務や注意点は?

今、「個人事業主」として事業をしている方は「国民年金保険」「国民健康保険」に加入されているかと思います。

ただ、事業が軌道に乗り、節税面等も考慮して、会社設立を検討しているといったケースも多いはず。

そこで気になるのが、「社会保険」に関する問題でしょう。

会社は1人でやっているし、会社形態も設立のハードルが低い「合同会社」にしようと思っているけれど、「社会保険」の加入はどうすれば?

色々手続が面倒そうだし、保険はそのまま国民年金保険と国民健康保険でよいのだけれど…とお考えの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「合同会社」設立時の「社会保険」について、加入義務や加入方法、そのメリットなどについて、詳しく解説していきたいと思います。


「社会保険」とは?

そもそも、「社会保険」とは何のことを指すのでしょうか?

「社会保険」は社会保険制度のことを指し、以下の4つの保険制度から構成されています。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

それでは、ひとつずつ詳しく解説していきましょう。


【健康保険】

健康保険には「国民健康保険」「社会保険制度の健康保険」の2種類が存在します。

さらに社会保険制度の健康保険として「全国健康保険協会」「組合管掌健康保険」「共済組合」など、様々な種類の保険が存在します。

現在の日本においては国民皆保険制度というものがあり、日本に住んでいる人全員が、何らかの健康保険に加入しなければならないということが義務化されています。

ちなみに満年齢で40歳を超えると「介護保険」への加入義務が別途発生しますが、「社会保険」に加入している場合は自動的に加入することになります。

この「介護保険制度」は比較的新しく、平成12年4月から開始しました。


【厚生年金】

社会保険制度の年金は「厚生年金」と言います。

俗に、国民年金は1階建て厚生年金は基礎年金部分の国民年金との2階建てなどと言われたりします。

年金の加入部分が2階建てになっているので、一般的には「国民年金」だけに加入している人よりも「厚生年金」に加入している人の方が将来受け取れる年金額が多くなります。


【雇用保険】

失業時、ハローワークへ申請しに行くことにより、失業時に給付金が受け取れる保険制度です。

失業給付金は雇用保険に加入していた期間や、受け取っていた給与により算出されます。


【労災保険】

正式名称は「労働者災害補償保険」と言います。

この名称のとおり、勤務中の事故や怪我に対して保障が受けられる保険制度で、労働者やその遺族の生活を守るための社会保険です。

他の社会保険と異なる点は保険料の全額を事業主が負担するという点です。


「合同会社」には社会保険への加入義務はある?

結論から言えば、「合同会社」には社会保険加入の義務があります

社員が社長の自分1人しかいない場合であっても、「会社」である以上、原則として社会保険への加入は必須となります。

手続は面倒ですが、必ず加入の申請をしましょう。

加入しなかった場合にはペナルティもありますので注意が必要です。


社会保険の加入義務には例外も

原則的には1人社長であっても社会保険には加入が必須となっていますが、中には例外もあります。

通常社会保険は給与や報酬に所定の料率をかけて計算されます。

つまりは給与や報酬が高くなるほど、保険料も高くなるという仕組みです。

そのため、支払われる給与や報酬がない場合には加入することはできません


社会保険の加入対象者

社会保険への加入が強制とは言え、加入には対象となる人とならない人がいます。

対象となる人は、以下の条件を満たしていなければなりません。


【全項目共通】

すべての項目に共通して課されている条件は以下の内容です。

  • 1週間の労働時間が正社員の3/4以上である
  • 1ヶ月の労働日数が正社員の3/4以上である

ここで言う正社員とは、同じ会社内で雇用されている社員のことを指します。

例えば社員の1週間の労働時間が40時間だった場合は30時間以上。

1ヶ月の労働日数が20日間だった場合は15日以上の勤務をしている者が社会保険加入の対象となります。

【社会保険の健康保険、厚生年金】

「健康保険」「厚生年金」の対象となるには、下記条件も満たしている必要があります。

  • 「国民健康保険」、「国民年金」の被保険者ではないこと
  • 会社に所属しており、役員報酬or従業員給与を支給されていること


【雇用保険、労災保険】

「雇用保険」「労災保険」に関しては少し例外的で、基本的に従業員に対する福利厚生制度のため、被用者である従業員のみ加入可能となっています。

つまり、会社役員は被用者ではないため加入できません


「合同会社」の場合の社会保険に関する注意点

「合同会社」は出資金を出した人が社員となります。

ここで言う社員とは、俗に言う従業員とは意味が異なり、直接経営に関わる業務の執行権も持ち合わせています。

つまり、雇用保険と労災保険は被用者に対する福利厚生保険であるため、会社の構成員が社員しかいない場合は適用外となります。

例えば1人社長でも社会保険加入が必須とは言いましたが、社長は被用者ではないため、雇用保険と労災保険には加入できませんので注意が必要です。


加入しなければペナルティも…

「合同会社」であっても社会保険への加入が義務付けられているので、未加入のまま放っておくと罰せられます

最悪の場合6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金という処罰が下されることもあります。

その上、加入義務が発生している会社設立日から2年間さかのぼって未納付の保険料が一括追徴されます。

未加入の厳罰は段階を経て重くなっていくため、いきなり追徴課税や罰金が科される訳ではありません。

何度も督促を受けているのに対応をしなかった場合や、虚偽の報告をしたなど、悪質な対応を取った場合に科される厳罰となっています。

うっかり加入を忘れていた場合などは、早い段階で対処を行いましょう。


「社会保険」加入のメリット

「社会保険」には国民健康保険や国民年金にはない数々のメリットがあります。


【傷病手当金が受け取れる】

会社に所属している最中、病気やけがなどで療養しなければならなくなった場合に手当金が支給される保険制度です。


【各種年金が受け取れる】

病気やけがなどで障害状態になって働けなくなった方向けの「障害厚生年金」や加入者が亡くなった場合に遺された遺族向けの「遺族年金」を受け取ることができます。

さらに「厚生年金」と「国民年金」は別枠で受け取ることになるため、老後の年金受取額が多くなるといったメリットがあります。


【経費として計上できる】

社会保険料は経費として計上が可能なため、所得税を抑えることが可能です。


さいごに

今回は「合同会社」における社会保険制度について解説してきましたが、いかがでしたか?

社会保険制度は働く人を守るための制度であり、強制加入なので損得で考えるものではありません。

とはいえ、多少の手続の面倒さを考えても、加入しておくメリットの方が多そうですよね。

届出の期限が会社設立後5日以内と結構早いものなので、書類は余裕を持って準備しておきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です